多摩川沿いにある、金属回収工場に持ち込んでみた。
住み始めた当初から邪魔で邪魔でいつもイライラさせられてきた家の外のフェンスを撤去したからだ。
支柱は残ってしまって見栄えは少々アレだが、邪魔物がなくなって暮らしやすくなった。支柱の距離が、フェンスの幅と一致していないため、邪魔なフェンスだけを取り除くことはできず、全部外すこととなった。
はっきりいって我が家のような鉛筆ハウスにフェンスなどいらない。敷地いっぱいに家が建っているのに何の意味があるのやら。
夏まっさかりに外したフェンスは、エアコンが壊れているアメリカのバンに収めておいた、涼しくなるまで待った。エアコンが壊れているから...
急に涼しくなったので、目をつけていた鉄屑回収工場に行ってみた。
いかつい感じの人たちがベンチで何人か座って休憩した、フェンスを引き取ってもらえるか尋ねると、OKだけどいま3時の休憩中だから待っていて、と。
15時過ぎると、金属ゴミを積んだトラックがバンバン入ってきた。自分は浮いていたことだろう。でも、あきらかに個人で不慣れた人間でも普通に対応してくれた。
外したフェンスと、使わなくなったIKEAのコロコロキャリアカート?タイヤが付いているからだめかなと思ったけどOKだった。あとは、切れてしまったベルトのバックル。ちょっと重いので足しになるかと。材質不明だったが、これは?と渡すと、作業服のカーゴパンツのサイドポケットに何か道具が入っているらしく、そこに当てて「大丈夫だよ」というのでそれも放り投げた。
この、荷下ろしの作業時「ヘルメットある?」と聞かれた。ちゃんとしてる!と驚きつつ、無いですと首をふると、貸し出し用のヘルメットを「わりぃね」といいながら差し出してくれた。こういう時に、「被っていただく決まりとなっておりまして、うんぬんかんぬんああだらこうだら。」と長々とした説明など一切ないガテンの世界のコミュニケーションは、心地よかった。
ヘルメットがあるか?と聞いてきた相手が、ヘルメットを差し出してきたのだ、被れ、というメッセージ以外に何もないのは明白なのだが、最近の世の中は説明過剰だから絶対にここでぐだぐだ言うのだ。
借りる人など少ないのだろう、ヘルメットはキレイだった。
潔癖症の私だが、頭には手拭いを巻いていたので抵抗なく被った。
考えてみれば、工場の高い天井にはクレーンなどもあった様子だったし立てかけてあるものの倒壊やらなんやら危険だ。(場違いで申し訳ないですという態度でいたので、あまりじろじろ見渡すなどはしなかったが)
そして、伝票を渡されて、事務所の方へ移動した。
1分〜2分で、女性事務員さんが車のところへ来てくれて、申し訳ないけれど30kgから買取りなんです、お客さんのは20kgでした、30kg 以下は回収になっちゃうんです、と。
残念だったが、もちろん回収してもらうことが第一目的なので、そのまま回収してもらった。
普通に捨てようとしたらむしろ有料なんだから。
ああ、でもちょっと期待はしていました。
幾らになるんだろうというワクワク感は携えて出かけていました。だからバックルも足したんだから。
1000円にでもなったら、やった〜と喜びながらあえてそのお金で帰りにジュースでも買ってこのイベントを楽しもうとしている自分がいたのは正直なところだ。
いずれ、フェンスを外した残骸である支柱をカットしたい。